ゴールデン街の写真集を上梓 佐々木美智子さんが抱く懸念
私はむささびを開く前に日活撮影所で編集の仕事をしていました。その時の仲間とか、作家の船戸与一とか舞踏家の麿赤兒……。約300人の顔を写し、思い出を書きました。それに若松孝二と一緒にパレスチナに渡り、日本赤軍に合流して逮捕された足立正生、写真家の森山大道、ピアニストの山下洋輔なんかがコメントを寄せている。そんな構成です。
――写真はほとんど顔のドアップですね。なぜそういうアングルなんですか。
本当の顔が見えるから。人が写真を見るときの視線って、ついメガネや髪形にいってしまうもの。アップにすることで、その人の本当の顔を写真に切り取るんです。それを現像すると「ああ、この人は恋をしているな」とか「表情には出さないけれど、心の内に悲しみを抱えているな」なんてことがわかる。あの本を出してからもお客さんの顔を撮り続けていますよ。もう200人くらいになったかしら。それをまとめてまた一冊にしようと思っています。