石破氏改憲の正論 9条の意味を主権者に説明する責任がある
自民党総裁選に立候補する意思を表明した石破茂代議士は、9条2項(戦力の不保持と交戦権の否認)を残して「自衛隊」を明記する首相の改憲案に対して、2項を削除する党の草案の正当性を主張している。その際に、「(党として)9条の意味を(主権者)国民に理解してもらう努力がまだ足りない」と反省の弁も述べた。それは、「(国民の)理解なき9条改正をスケジュールありきでやるべきではない」からである。
これはもっともな話である。
既に40年間も改憲論議にかかわって来た私は、今日に至っても主権者国民大衆が憲法9条について共通の理解に達していない事実に愕然とすることがある。
まず、9条1項の「戦争の放棄」については、「だからもう戦争はないのだ」(?)と言い切る者がいれば、「それでも、戦争は他国がその気になればあちらからやって来る」と言う者がいる。2項の「戦力の放棄」と「交戦権の否認」については、「だから自衛隊は違憲だ」と言い切る者がいれば、「自衛隊は、わが国が他国から襲われた場合にそれを排除するための必要最小限の実力だから戦力ではない」(?)と言う者がいる。